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蝶ネクタイの結び方 How to Tie a Bow Tie

蝶ネクタイ(ボウタイ)の結び方、コーディネイト、歴史など。ネクタイ史研究者の蝶ネクタイ・ブランドが発信するブログです。How to tie a BowTie, Styling, History etc. BowTie Specimens Presents.

15.又の字結び/解説_Gordian Knot History,本来のアスコットタイの結び方/アスコットタイの起源/ The Original AscotTie Knot-Style

History / 結び方 解説

又の字結び/Gordian Knot 解説

 

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このページでは、又の字結び(Gordian Knot)について解説します。同義語として、蝉型(セミがた)結び /  Square&Cross Knotなどがあります。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / 19th Century Pointed End / 4.0cm width 

 

 

 

タイ・アクセサリーを使い、留め付けることで完成するこのドレッシーな結び方。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / 19th Century Pointed End / 2.0cm width 

 

 

 

変化の少ない現代のメンズ・スタイルを見兼ねて、そろそろ蘇る時期に来ているのかもしれません。

 

 

 

 

 

又の字結びの歴史

 

 

 

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Wikimedia Commons / Neckclothitania-1818 [ネッククロスの世界]

 

 

 

かつて、ゴーディアン・ノット(Gordian Knot)は、現代のメンズ・ネックウェアの親世代とも言うべき、クラヴァット(Cravat)の結び方の1つでした。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / Franz Liszt 1843 

 

 

 

結び方は至って単純で、本結び(Square Knot)して筒状の結び目を作った後に、剣先を交差してピンなどで留め付けるだけです。

 

 

 

蝶結びの解説でも書きましたが、19世紀中頃を機にクラヴァット等のネックウェアは、当時のジャケット[コート]やシャツなどと共に、より簡略化が求められるようになります。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / Men's NeckWear  Family Tree 

 

 

 

上のネクタイの家系図は、あくまでも大まかなイメージです。結び下げネクタイについては下げ結びの解説、蝶ネクタイは蝶結びの解説で書いていますので、ここではプラストロン(アスコットタイ)の話に焦点を絞ります。

 

 

 

クラヴァットの時代が終焉に向かっても、その結び方は子供達に引き継がれました。今日アスコットタイと呼ばれるものは、1880年代にイギリス人がアスコット競馬場で着用したことが由来、というのはよく耳にします。

 

 

 

しかしその前にもイギリスフランスを中心に、プラストロン(Plastron)と呼ばれるゴーディアン・ノットを継承したネックウェアが存在していたようです。下の写真はアスコットタイの名が広まる前のものだと思います。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / ca,1880  Paul Berthier 

 

 

 

Plastronはフランス語で装飾用の胸飾りの意味があります。結び目はゴーディアン・ノットであり、その大半が作り結び式であったようです。

 

 

 

日本ネクタイ史 (1980年)によると、19世紀中頃からフランスは大量のネックウェアを輸出していたようなので、下のアメリカ庶民の写真集でも、既に1860年代の紳士がプラストロン付けているのも頷けます。

 

 

 

American Victorian Costume in Early Photographs (Dover Fashion and Costumes)

American Victorian Costume in Early Photographs (Dover Fashion and Costumes)

 

  

 

 

またイギリスにおいても、下の写真集では同じ形状で[プラストロン]と呼べるであろうものを、1863年に当時のイギリス王子(Prince of Wales)が結んでいる写真が載っています。

 

 

 

Victorian and Edwardian Fashion: A Photographic Survey (Dover Fashion and Costumes)

Victorian and Edwardian Fashion: A Photographic Survey (Dover Fashion and Costumes)

 

 

 

過去に日本のメンズクラブ・ブックスなどで紹介されている「オクタゴン・タイ(Octagon Tie)」なるものは、1860年代流行の「作り結び又の字アスコットタイ」とあるので、


おそらくプラストロンのことではないかと推測されます。八角形(Octagon)と言われれば、そうかもしれません。
1890年頃の作り結び式アスコットタイの全体画像→ Link

 

 

 

フランスでは少なくとも1900年代初頭までは、このプラストロンの名が百貨店広告に登場しています。プラストロンとアスコットタイは、幅や形状に種類はあったとは思いますが、実質同じものであったと個人的には考えています。

 

 

 

フランスのライバルであるイギリスは、王室主催のアスコット競馬場の名を使い、イギリスのネックウェアであるという世界に向けたブランディングに、成功したと見るのは少し考え過ぎでしょうか。

 

 

 

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Wikimedia Commons / between 1865 and 1880  G A Custer 

 

 

 

ちなみに1890年代から1900年代初頭にかけてのアメリカの商業広告では、プラストロンと同じものがパフタイ(Puff Tie)の名で、テック・スカーフ(Teck Scalf)と共に掲載されています。

 

 

 

Teck Scalf... 作り結び式Plain Knotで結ばれた、両端の剣先が同幅のネクタイで、アメリカでの旧呼称。後にテック・タイになったと思われます。テック公という貴族が、アスコットタイをPlain Knotで結んだことが由来とか。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / The orijginal : Public Domain Photograph

 

 

 

19世紀後半には、フランスから日本にも輸出されていたようです。明治の人々は、その見た目から[又の字]、[又長]、[セミ型]の和名で呼んでいたようです。

 

 

 

日本に入ったプラストロン(アスコットタイ)は、おそらくほとんどがこのゴーディアン・ノット作り結び式であったことが、和名からも推測されます。

 

 

 

今日、絶滅危惧種である又の字結び。日本では結婚式の新郎ネックウェアとして、細々と生き残っています。

 

 

 

参考:東京ネクタイ協同組合さんのサイト 
ページ下方「日本におけるネクタイの変遷」と題して、貴重の写真が公開されています。

 

 

 

参考:着物に(又の字結び)の日本人もいたようです。

 

 

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Wikimedia Commons / Ulysses Grant 1864  別アングルもあります。

 

 

 

上の写真は、ボウタイで又の字結びをしているのではないかと思いす。寸法さえ余裕があれば、アスコットタイだけでなく、ネクタイでもスカーフでも結べるということです。 

 

 

 

 

  

又の字結び 写真館

 

 

以下には、又の字結び をしている人物の歴史資料の中から、一部をピックアップして掲載いたします。

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / Rutherford Alcock

 

  

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Public Domain / Wikimedia Commons / LifeSpan 1845-1886  Ludwig II of Bavaria

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / ca,1884  Ernest Pogorelc

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / Richard Harding Davis in 1890

 

 

 

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Wikimedia Commons / 1890-1893  William Collins Whitney

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1865 to 1900【 J E Palmer 】

 

 

 

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Wikimedia Commons / LifeSpan 1828-1895 George Augustus Sala

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1904  August Belmont, Jr.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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