「蝶ネクタイの標本」blog | BOWTIE SPECIMENS

蝶ネクタイ ブランド「蝶ネクタイの標本」のブログ。蝶ネクタイの歴史,結び方,種類など、ネクタイ史研究を土台に生み出す作品を発信します。"BOWTIE SPECIMENS" is Traditional and Creative BowTie brand. How to tie 23 ways BowTie Knot ? 150 years History , many design types.

13.下げ結び/解説_Plain Knot History,ネクタイの結び方/Four In Hand Tie Knot-Style

下げ結び/Plain Knot 解説

 

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このページでは、下げ結び(Plain Knot)について解説します。同義語として、Simple Knot / Four-In-Hand Knotなどがあります。

 

 

 

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©Another-Design-Inst.  / 19th Century Pointed End / 4.0cm width

 

 

 

面白いことに、上と下の写真のような復刻・蝶ネクタイでも、ネクタイの代表的な結び方である、下げ結び(Plain Knot)をすることができます。

 

 

 

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©Another-Design-Inst.  / 19th Century Square End / 4.0cm width

 

 

 

短い!実に短いです。「ネクタイ長さは、剣先がベルトのバックルにかかる位が正しいんだ!」とお叱りを受けたら、私はこう答えます。

 

 

 

「これ蝶ネクタイですけど何か?

 

 

 

冗談はさておき、現代スーツネクタイの長さの関係は、ベストをあまり着用しなくなったため、Vゾーンが広く空いてしまったことや、

 

 


ジャケットの下側ボタンを留めないことが主流になったため、お腹の白いシャツ部分が見えてしまうようになりました。



この部分も隠すため、見た目のバランス上はバックル位置が妥当な長さであると、考えられるようになったのかもしれません。

 

 

 

 

 

下げ結び/Plain Knotの歴史

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / Two men photographed in studio style, 1890-1900

 

 

 

下げ結び(Plain Knot)の歴史は、今日のネクタイの歴史と同じであると考えられます。なぜなら今日ネクタイと呼ばれるものは、この結び方と共に誕生したからです。

 

 

 

日本人は元来、舶来物を取り入れつつも、独自に和名を付けてきました。幕末・明治期もネッキタイ(ネクタイ)を、襟締、襟飾り、結び下げなどと呼び、ボウタイを蝶型(蝶ネクタイ)と名付けました。

 

 

 

しかし当時は、ネクタイの結び方が他になかったためか結び下げネクタイというアイテム名とは別に、Plain Knot (Four-in -Hand Knot)という結び方を和名にした形跡がなく、個人的には下げ結びという言葉を当てて呼んでいます。

 

 

  

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 Wikimedia Commons / between 1910 and 1920   Man at the beach 

 

 

 

ネクタイには剣先の横幅に流行があることは、比較的よく知られていますが、歴史資料には縦の寸法が、とても短いネクタイも確認できます。

 

 

 

推測ですが上の2枚と下の1枚の写真は、蝶ネクタイで結んでいる可能性もあります。なぜなら、当時の手結び蝶ネクタイの寸法と同じくらいの形状と長さだからです。

 

 

 

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 Wikimedia Commons / F. Gordon, employee on Canobie Station, 1895

 

 

 

このFour-In-Hand Knot (Plain Knot)という結び方が、何年に生まれたかは諸説ありますし私も分かりません。しかし[ネクタイの歴史]研究の視点から、大まかな流れをイメージで表すと、

 

 

 

下のような家系図を作ることができます。メンズ・ネックウェアの主役は多少の時間差はあれ、1850年を転換期として世代交代が行われたと見てよいと思います。性別は無視してください m(_ _)m

 

 

 

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©Another-Design-Inst.  / Neck-Wear Family Tree

 

 

 

クラヴァットストックという親から、長男[蝶ネクタイ]1850年に生まれたことは蝶結びのページでお伝えしています。結び方の1つであったものが簡略化され、独立したわけです。

 

 

 

 

 

 

そして次男[プラストロン(後のアスコットタイ)]は、遅くとも1860年代には誕生します。この部分は又の字結びの解説ページで説明しています。 

 

 

 

 

 

 

さらに三男[(結び下げ)ネクタイ]も直接ではなかったかもしれませんが、クラヴァットの結んで下に垂らすスタイルを、プラストロン同様に引き継ぎます。より簡略化されたものを時代が求めていました。

 


新たな結び方Four-In-Hand Knotは、そのままFour-In-Hand Tieというアイテム名となります。

 

 

 

Victorian and Edwardian Fashion: A Photographic Survey (Dover Fashion and Costumes)

Victorian and Edwardian Fashion: A Photographic Survey (Dover Fashion and Costumes)

 

↑ A資料

 

 

 

Victorian Fashion in America: 264 Vintage Photographs

Victorian Fashion in America: 264 Vintage Photographs

 

B資料

 

 

 

証拠資料では、1863年パリの広告がネクタイの文献ではよく登場します(→こちらです)

 

 


上のA資料では、1867年頃と記載されている写真にFour-In-Hand Knotであろう結び方をしている紳士が、また資料Bの写真集では、1871-72年表記で同じの結び方の紳士が確認できます。

 

 

 

ネクタイの数学―ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ85の方法 (新潮OH!文庫)

ネクタイの数学―ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ85の方法 (新潮OH!文庫)

 

 

 

 

また文献資料では、「ネクタイの数学」には「1850年にイギリスの若者のスポーツウェアとして生まれた」とありますし、下の[出石尚三先生]の本では、1830年[セイラーズ・リーフ・ノット・タイ]に[Four-In-Hand Knot]の原型があったと記されています。

 

 

 

私個人としては、「はっきり何年に生まれたか」というのは重要ではなく、大きなメンズ・ネックウェア流れとして、[1850年代]が1つの次世代への転換期であるという点を理解していれば、デザイナーとして十分であると考えています。

 

 

 

男はなぜネクタイを結ぶのか (新潮新書)

男はなぜネクタイを結ぶのか (新潮新書)

 

 

 

 

The Book of Ties

The Book of Ties

 

 

 

 

 

 

下げ結び/Plain Knot 写真館

 

 

 

以下には、下げ結び[Plain Knot]をしている人物の歴史資料の中から、一部をピックアップして掲載いたします。

 

 

 

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Wikimedia Commons / 快楽亭ブラック 1858-1923  ♪ 江戸東京時代の咄

 

 

 

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Wikimedia Commons / Theo Wangemann photographed in Berlin 1890

 

 

 

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Wikimedia Commons / Portrait of the composer Pyotr I. Tchaikovsky (1840-1893)

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1915 G. Seres, Th. Ellegaard, C. Moretti

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1914  Paul Deman

 

 

 

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 Wikimedia Commons / Man and woman on abreast tandem bicycle, c. 1930s

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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