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蝶ネクタイの結び方 How to Tie a Bow Tie

蝶ネクタイ(ボウタイ)の結び方、コーディネイト、歴史など。ネクタイ史研究者の蝶ネクタイ・ブランドが発信するブログです。How to tie a BowTie, Styling, History etc. BowTie Specimens Presents.

1.蝶結び/解説_Basic Bow Knot History,くつ紐の結び方/ Same Knot the Shoelaces/蝶ネクタイの起源,歴史が分かる

 

蝶結び/Basic Bow Knot 解説 

 

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このページでは、蝶結び(Basic Bow Knot)について解説します。同義語として、花結び / 双輪(もろわな)結び / リボン結び / ちょうちょ結び、などがあります。

 

 

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / Shaped Butterfly / 6.0cm width

 

 

 

現在、多くの人が持つ蝶ネクタイのイメージと言えば、上と下の写真のような形のものではないでしょうか。上は現在一般的に流通している現代型の手結び蝶ネクタイで、下は復刻 蝶ネクタイです。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / 19th Century Pointed End / 3.0cm width 

 

 

 

これらは、あくまでも蝶ネクタイの最も基本的な結び方である、蝶結び(Basic Bow Knot)をした時の形です。

 

 

 

このブログでご紹介している、他の結び方と比較していただくことで、本来の手結び蝶ネクタイ(Self-Tied BowTie)は、もっと自由で遊べるアイテムであったことを、お伝えできるかと思います。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / 19th Century Wide Pointed End / 8.0cm width

 

 

 

すぐ上の写真も、19世紀後半に見られた[型紙デザイン]を基に復刻化した蝶ネクタイです。同じ[蝶結び]であっても[型紙デザイン]が異なれば、また違った雰囲気になります。

 

 

 

 

 

蝶結びの歴史

 

 

 

ところで、蝶ネクタイ(Bow Tie)の起源と、蝶結び(Bow [Knot])の首回り装飾の起源が、少なくとも200年は違うことをご存知でしょうか?

 

 

 

Bowという英単語は、1単語だけで[蝶型リボン][蝶結び]の意味がありますが、この単語がいつから使用されていたかは分かりません。

 

 

 

しかしBow Tieという単語に関しては、1850年代頃から使用され出した言葉であることは、確かであろうと思います。この点の詳細は後半でご説明いたします。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / Louis XIV de France

 

 

 

 では[蝶結び]の首回り装飾の起源についてはというと、上の絵画資料が1つの貴重な証拠となります。これらは全てフランス国王ルイ14世(1638-1715)]を描いたものです。

 

 

 

クラバットとは?首元には白いレースのクラヴァット(Lace-Cravat)という、ネックウェアを付けて垂らし、同時に大きな赤いリボンを付けています。

 

 

 

ループ状に重ねている左下のものなどは、予め[蝶結び風]に縫い留めたものを、紐などて括っていたと推測されます。

 

 


↓参考:実物

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 左上右上左下右下 

 

 

 

この上の絵も17世紀中頃から後半の絵画です。当時の他の人々の肖像を見ると、右上の絵のようにクラヴァットをリボンで蝶結びして括るスタイルもあったことが分かります。

 

 

 

単純に計算して17世紀中頃というのは、蝶ネクタイ[Bow Tie]が生まれる19世紀中頃の、約200年前ということになります。もちろん、それ以前にも蝶結びの首回り装飾があった可能性はありますが。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / Philippe Coypel (1732)

 

 

 

18世紀初頭には、ストック[Stock]という新しいネックウェアが普及し始めます。形状のイメージとしては首に巻く医療用コルセットのようなものです。軍服として作られたという説もあります。

 

 

 

ストックは首の後ろでボタンやバックル留めするもので、初期のストックには結び目がなく装飾性に欠けました。そこで他のものと併用するスタイルも生まれました。

 

 

 

上の絵は白いストックに、白いジャボ[Jabot]というヒダ飾りを首から掛け、さらにソリテール[solitaire]という細い黒紐を結んでいます。

 

 

 

ソリテールは[Bag-Wig]と呼ばれる袋状のかつらを、蝶結びして飾るリボンでしたが、そのまま前に持ってきて蝶結びするスタイルも生まれたようです。下の絵の上側が後ろで、下側が前で結んだ例です

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 左下右下

 

 

 

1978年に文化出版局が発行した[ネクタイ誌]の中で、出石尚三先生は「1730年代に入りソリテールは単独で直接、首に巻かれるようになった」と書き記しています。

 

 

 

下の絵は、1760年代から1770年代の男女の肖像画ですが、1730年以後、単独で巻くようになったことは、この絵からも確認できます。特にこの時代、直接に首へ巻いている女性の姿が数多く確認できます。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 左上その他3枚

 

 

 

ソリテールの流行は、1770年代頃で終わったようです。その後、メンズファッションにおける蝶結びの首回り装飾機能は、19世紀前半まで2つのネックウェアの一部として集約されていきます。

 

 

 

その2つがクラヴァット(Cravat)ストック(Stock)でした。また19世紀に入り、メンズファッションの聖地はパリからロンドンへと移ったと、認識されるようになったようです。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 左上右上左下右下

 

 

 

1780年代頃からクラヴァットの結び方が華やかになっていったことは、年代別の肖像画からも確認できます。さらに1810年前後に、ブランメルという英国人の活躍が起爆剤となり、

 

 

 

後期のクラヴァットはDress-Cravatと呼べるほど、結びの技術が巧妙化していきました。そして蝶結びはクラヴァット結びの選択肢の1つとして残っていきます。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 左上右上左下右下

 

 

 

一方、後期のストックも、Military-Stockという初期同様に軍服的で飾りがないタイプに加え、クラヴァットと同化したような見た目の、



Plain-Bow-Stockという蝶結びが付いてるタイプも登場しました。上の写真の下側2枚が蝶結び付きです。

 

 

 

やがて19世紀中頃に近づくに連れて、この2つのネックウェアは近代化の流れの中で、さらなる効率化や簡略化が求められ始めます。

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1863  Abraham Lincoln

 

 

 

上はリンカーンの有名な肖像写真ですが、彼の首に巻かれているものは、おそらく作り結び式でこういうものです。

 

 

 

LINK1(上から2枚目と3枚目) LINK2

 

 

 

クラヴァットというかストックというか、ボウタイというか。分かりませんが変化の瞬間という感じです。

 

 


↓ このようなストックと明記されたものもあります。

 

 

 

 

いづれにせよ、1850年代頃を転機に[蝶結び]の結び目の形を整え首回り部分をより細くした[蝶ネクタイ(Bow Tie)]と名乗るアイテムが、徐々に普及していったことは確かです。

 

 

 

ネクタイアスコットタイに至る歴史的な部分については、他の[結び方解説]のところで解説します。

 

 

 

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©Another-Design-Inst. / Men's NeckWear  Family Tree

 

 

 

ちなみに又の字に垂らす「ストック」は、現在でも乗馬用の女性用ネックウェアとして使用されています。

Riding Stock Tie

 

 

 

 

蝶結び 写真館

 

 

以下には、[蝶結び]をしている人物の歴史資料の中から、一部をピックアップして掲載いたします。どれが手結び式で、どれが作り結び式か見分けがつきますか?

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1872  William Richardson

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / ca.1901  Alexander Paterson

 

 

 

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Public Domain / National Diet Library / 竹越与三郎 1865〜1950

  

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons / 1928  State Library of Queensland 

 

 

 

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Public Domain / Wikimedia Commons /  John Glenn

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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